三節 Two of us10

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 ローザは耳を塞ぎながら、狂おしく声を上げた。 「もう二度と、私の名前を呼んではくれない、笑いかけてもくれない、抱きしめても・・ 全部、もうぜんぶ終わってしまったのよ! どうなったって構わないのよっ!!」  ローザはうつむき、ポロポロと涙を流した。まだ自分には、これだけの水が残って いたのか。そんな風に思うほど、とめどない悲しみが溢れていた。  構わない、と彼女は言った。そう、どっちでも構わなかったのだ。  決して噂を信じたわけではない。だが彼女にとって、たとえセシルがバロンに弓を ひこうとも、本当は構わなかったのだ。彼がそうするというのなら、それがどんな道でも 歩んでいける。彼が何をなそうとも、自分はそれを信じて支えさえすれば良い。  彼女に必要なのは、セシルのそばにいる、たったそれだけのことだったのだ。    そして、それが全てだった。だからこそ、彼女にはもはや生きる意味などなかった。  急にギ、ギ・・とけたたましい音が牢獄に響きだした。  顔を上げると、なんとシドが万力を込めて独房の格子をひん曲げようとしていた。 やがて、錆び付いていた鉄棒は折れてしまい、ずかずかと牢から這い出てきたシドは そのままローザの独房の格子につかみかかった。 「シド・・・やめて・・」 「・・・」 「お願いだから、シド・・」  ローザの懇願など端から無視して、シドは憤怒の形相で格子をへし折り、ローザに歩み よってきた。彼女が口を開こうとした瞬間、

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