三節 Two of us12

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 どくん、と胸の奥が震えた。 「・・いいかローザ。お前さんのそんな有様を見て一番悲しむのは、わしでもなければ お前さん自身でもないんじゃぞ」 「・・・」 「赤い翼の・・わしらのセシルが惚れた女は、こんなくだらない人間か?」 「・・セシル・・・・」 「立ち上がるんじゃ。お前さんを失って、セシルがどんな顔をすると思う。  あやつを慰める役目なんぞ、わしはまっぴらごめんじゃぞ!!」  ぐい、とシドがローザの身体を引き上げる。幽閉され、いっそう細身のかかった肢体は 急な反動にふらついたが、その瞳にはいまや毅然とした輝きが宿っていた。  シドは満足げにニヤリと笑った。 「信じるんじゃローザ。ここにいてはいかん。信じてセシルを追え!」 「えぇ・・そうね、シド。私たちのセシルを信じるわ!」 「素直に" 私の "と言わんかい」 「もうっ!!」  ローザは顔を赤くして、大口を開けて笑うシドの背中を叩いた。  まったくこの人は、こんな時まで・・。  なんて・・心強いのだろう。 「ありがとう・・シド」 「そういう顔はセシルにとっとけい」  照れ隠しのように目を背けるシド。ローザは窓から月を望んだ。  うずくまっていた頃よりも、その月はずっと身近に見えていた。

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