三節 Two of us25

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 目覚めたばかりだからだろうか。どうにも断片的にしか思い出せない。  狂ったように笑うカイン、ヤンの怒鳴り声、胸を焼き焦がす槍の痛み、不気味な足音、 甲冑に包まれた男、倒れ込んだローザ。 (・・そうだ、ローザが!!)  急に頭の中が鮮明になった。  思い出した。クリスタルが奪われ、さらにローザまでもさらわれてしまったのだ。  こんなところで寝ている場合じゃ・・! 「つっ!」  慌てておき上がろうとしたセシルの胸に激痛が走った。思わずうめき声がこぼれる。 それをききつけて、リディアが目を開けた。 「・・セシル?」  彼女はぽかんとして彼を見つめている。セシルは胸を抑えながら笑いかけた。 「やぁ、リディア・・君が看病してくれ・・」  セシルが言い終わらないうちに、リディアは彼の胸に抱きついていた。  よほど心配したのだろうか、彼女は泣いていた。彼女の重みがかかり、胸がキリキリと 痛んだが、それが同時に、高ぶりかけていた彼の感情を和ませてくれた。  胸の中で泣きじゃくる少女の頭を撫でながら、セシルは何度も何度も、大丈夫だよ、 ありがとう、と繰り返し語りかけた。  しばらくの間、そうして二人支え合ったまま、穏やかな時間が流れていった。

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