三節 Two of us36

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三節 Two of us36」(2007/12/12 (水) 04:22:25) の最新版変更点

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 突然、王は高らかに笑い出した。  ヤンをはじめ、呆気にとられている面々に、やがて王は向き直って笑いかけた。 「はっは、いやすまぬ、すまぬな。許せよヤン。  ぬしのような貴重な人材がいなくなるというのは、薄情な話ではないかと思ってな。 少しばかりおぬしをからかってみたくなっただけよ」 「・・は?」 「ヤンよ、ぬしの気負いはしかと見届けた。セシル殿の荷物とならぬようにな」 「・・! かたじけのうございます」 「よい、よい。もとよりおぬしの気質は把握しておる。  そう言いだすことだろうと思って、既に細君には旅立ちの旨、伝えておいたぞ」 「まっ、まことですか!?」 「ぬしはとんだ甲斐性なしだと腹を立てておったぞ。早く会いにいってやるがよい。  そうだ、ウェッジにもな。ぬしがいなくなれば、彼奴もひどく寂しがるであろう」 「ハッ! ・・陛下、まことに、まことに・・!」  ひれ伏すヤンの声は、言葉にならなかった。目の前の老王の度量、その部下を知り 尽くした寛大さ。それを受けて、感動に打ち震えるヤンの後ろ姿を見て、セシルは深い 感銘を覚えていた。ヤンと同じく、国に仕える身分であった彼には、その光景の美しさが 我が身のようによくわかった。  そして、それが失ってしまったいまの祖国が、いっそう哀しかった。

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