三節 Two of us41

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三節 Two of us41」(2007/12/12 (水) 04:26:00) の最新版変更点

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 ところが当のセシルを見やると、何故かぼんやりとした様子で、ビクビクと痙攣する 魔物の死骸を見つめていた。まるで、彼自身も驚いているようにすら見える。 「・・・」 「・・セシル殿?」 「・・・・・った・・」 「なに?」 「・・・・・・違った」  訝しげな表情のヤンを見据えて、セシルは言った。 「・・カインだと・・思ったんだ」  愕然と見開いた目で自分を見つめるセシルを、ヤンは黙って見つめ返していた。 やがてゆっくりと大きな息を押し出すと、彼の肩に手を添えた。 「・・気が昂っているのだ、セシル殿。そなたはあまりに多くを抱え込みすぎている。  その重みに精神が戸惑っているのだ。・・もう、休まれよ」  セシルはしばらく虚ろな目でヤンを見ていた。が、やがて視線を落とすと、 「・・わかったよヤン。でもすまないが、もうしばらくひとりにしてもらえるかな」 「うむ・・・では」  それ以上の言葉は無為とみて、ヤンは訓練場を去っていった。その背中を見送り ながら、セシルは先ほどの思いを振り返った。 (彼に打ち明けるべきだったろうか)  彼はすぐに頭を振って、その考えを否定する。  そんなことをして何になる。彼に自分の汚い部分を共有させて楽になろうとでもいう のか。それに、そもそも彼にわかるはずもない。よしんば形だけ理解できたとして、 彼は必ず、深い親愛をたたえた口調でこういうだろう。 「疲れているのだよ、セシル殿」  それでは何にもならないのだ。セシルは先ほど自分が屠った死骸に目を戻した。 光を背に受けてこいつが飛びかかってきたときは、確かにその姿がカインに見えた。  だが、問題は魔物と親友を見間違ったことではない。彼と知った上で、自分が何の 躊躇もなく手を下そうとしたということだ。

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