序章1

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 生い茂る木々の間に身をかがめ、フリオニールはじっと息を殺していた。 静まり返った森の中に、舞い落ちた木の葉を踏みしめる足音が響いている。 その音は、ゆっくりとこちらに向かって近づいてくる。もう駄目かもしれないと彼は思った。 かたわらには幼いころから一緒だった三人の仲間がいる。それでも彼は心細かった。 (マリア、ガイ、レオンハルト…)  四人で力を合わせ、追っ手の帝国兵を倒し、振り払ってここまで逃げて来た。 しかし、すぐそこまで来ている帝国の騎士にはかないそうになかった。 木の葉のすき間から、黒い騎馬にまたがってゆうゆうと闊歩しているようすがうかがえる。 手に持った長い槍から見ても、ここに来るまでに立ちはだかった歩兵と異質の強さであることは明らかだった。  もしここに隠れていることが気づかれてしまったら、たちまち殺されてしまうだろう。  考えをめぐらせているフリオニールの肩に、レオンハルトがそっと手をかけた。 「奴はまだ俺たちに気づいてはいない。逃げ出したりしないでこのままじっとしていろ。 大丈夫だ、俺がついてる。」  レオンハルトは静かに言った。マリアの兄であるレオンハルトは四人の中の年長者であり、 他の三人は日ごろから彼を大変慕っていた。一行がフィンの町からこの森まで逃げてきたのも、 彼の導きなしでは到底なしえないことであった。  レオンハルトの言葉のとおり、しばらくして追っ手の黒騎士は遠ざかっていった。 「ふっ…」  マリアが、耐え切れなくなったように息を吐き出そうとしたが、レオンハルトがあわててその口をふさいだ。 「まだ安心はできん。この辺りの地理には奴らよりも俺たちのほうが詳しい。夜になってから逃げよう。」  レオンハルトの言葉に、フリオニールたちはうなずいた。
 生い茂る木々の間に身をかがめ、フリオニールはじっと息を殺していた。 静まり返った森の中に、舞い落ちた木の葉を踏みしめる足音が響いている。 その音は、ゆっくりとこちらに向かって近づいてくる。もう駄目かもしれないと彼は思った。 かたわらには幼いころから一緒だった三人の仲間がいる。それでも彼は心細かった。 (マリア、ガイ、レオンハルト…)  四人で力を合わせ、追っ手の帝国兵を倒し、振り払ってここまで逃げて来た。 しかし、すぐそこまで来ている帝国の騎士にはかないそうになかった。 木の葉のすき間から、黒い騎馬にまたがってゆうゆうと闊歩しているようすがうかがえる。 手に持った長い槍から見ても、ここに来るまでに立ちはだかった歩兵と異質の強さであることは明らかだった。  もしここに隠れていることが気づかれてしまったら、たちまち殺されてしまうだろう。  考えをめぐらせているフリオニールの肩に、レオンハルトがそっと手をかけた。 「奴はまだ俺たちに気づいてはいない。逃げ出したりしないでこのままじっとしていろ。 大丈夫だ、俺がついてる。」  レオンハルトは静かに言った。マリアの兄であるレオンハルトは四人の中の年長者であり、 他の三人は日ごろから彼を大変慕っていた。一行がフィンの町からこの森まで逃げてきたのも、 彼の導きなしでは到底なしえないことであった。  レオンハルトの言葉のとおり、しばらくして追っ手の黒騎士は遠ざかっていった。 「ふっ…」  マリアが、耐え切れなくなったように息を吐き出そうとしたが、レオンハルトがあわててその口をふさいだ。 「まだ安心はできん。この辺りの地理には奴らよりも俺たちのほうが詳しい。夜になってから逃げよう。」  レオンハルトの言葉に、フリオニールたちはうなずいた。 -[[序章2]]

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