「Prelude」

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未だパレードが始まるまで時間があるというのに、ダルマスカの大通りは人々で溢れ返っていた。 近隣諸国からの観光客も多く、パレードで使用しない通りの両端はキャラバンや市民の即席の市で賑わっていた。 「どう?御成婚記念の今日だけだよ!」 美しいミスリル細工や織物、珍味などが屋台の売り子に捕まえられた人々の財布を途端に涼しくさせて行く。 長い耳を持つヴィエラの二人組みが談笑を止めて顔を上げた。その瞬間、視線の先で花火が上がった。 「いよいよ始まるのね!」 誰かがそう叫んだ。観光客が眺めていた金細工を放り出した。 大通りへ続く道へ、各々の速度で人々が進み始める。 打楽器の奏でる音が微かに聞こえ始めた。 門が開き、パレードの先頭が現れた。 ナブラディア地方に住む民族らしい男を先頭に、ビュエルバのモーグリ族の鼓笛隊、草原のコッカトリスの群が続く。 モーグリが同じリズムで太鼓を叩きつづける。先頭を行く男がシンバルを打ち鳴らした。 人々がモーグリやコッカトリスのちょこちょこと歩く姿を見て微笑んだ。 ゆっくりと開く門から、鞍と甲冑で飾られたチョコボ隊がコッカトリスに続いて登場した。 少年達が大人たちの頭の群の後ろからそれを見ようと躍起になってその場で何度も跳躍する。 そしてついに、この日の主役が登場した。 磨き上げられ、埃一つ無い馬車を先程のチョコボ隊が引いている。

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