竜の騎士団 2

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 一つは言わずと知れた飛空艇団、通称「赤い翼」だ。空を覆い尽くす鋼鉄の船団から落とされる 爆撃はいかなる堅固な城塞もたちどころに粉砕し、暗黒騎士セシルが率いる精鋭騎士団は無敵を誇る。  そしてもう一つが、竜騎士団である。  彼ら竜騎士は、鍛え抜かれた鋭い槍技、そして見上げるような城壁も一飛びに超える驚異的な 脚力を以て戦うが、もうひとつ、飛空艇に勝るともそうは劣らない強力な武器を持っている。 それが彼らを竜騎士と呼ばしめる由縁、空を馳せる王者、飛竜である。彼らは竜と共に戦うのだ。  実はバロンの祖が生き残れたのも、この飛竜と言う生物のおかげだ。少数民族であったバロンが この地の征服者になることができたのも、彼らの助けがあってこそであった。  古の時から変わらず竜と共に生き、死んでゆく誇り高き竜騎士達。そしてその頂点に立つ男こそ 他でもないセシルの親友、カイン=ハイウィンドである。  ところで、「カイン=ハイウィンド」という名は彼の本名ではない。  ハイウィンドとは、空を知り、風を知り、そして竜を知る者の証。歴代の竜騎士団団長にのみ 受け継がれてゆく、偉大なる称号なのだ。  歴代のハイウィンド達は皆その名に恥じぬ素晴らしい騎士で、よく空を知り、よく風にその身を 乗せて、またよく竜を愛した。そして先代のハイウィンド───つまりカインの父親も、もちろん 例外ではなかった。  彼は長い歴史の中でも抜きん出た英雄と讃えられるほどの人物で、その実力はもちろんのこと、 誰からも慕われる素晴らしい指揮官だった。温厚で仁愛に満ちた人格はいつも周囲を落ち着かせ、 朗らかな顔に染め、それでいてひとたび槍を振るえば、その勢いたるやさながら鬼神のごとき 凄まじいものだというのだから、部下達はいっそう敬服を深めるばかりであった。  だが世に英雄と呼ばれる人間の多くがそうであるように、彼にも幸福ならざる結末が用意されて いた。あるとき治安維持のため魔物の討伐の任に赴いた先で、彼は小さなカインを遺したまま、 戦死してしまったのだ。まだ齢三十にも満たない若さである。誰にとっても、早すぎる死だった。  人間の価値はその人物の葬儀を見れば判ると言う。王も参列した厳かな葬儀では、同列していた 大勢の騎士達が咽び泣いた。彼らの涙の一雫ずつに、団長の高潔な人柄が窺い知れたことだろう。

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