FINAL FANTASY IV プロローグ9

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兵たちとの話し合いを終えたセシルを捕まえ、苦笑する彼の前にむりやり杯を押しやると、おもむろにシドは口を開いた。 「ところで、魔物が出たと言っとったが……わしの可愛い飛空挺は無事か?」 「魔法具を使ったから、損傷はないよ。そちらは?」 「ああ、二度ほどこっちにもちょっかいをかけて来おった。  留守番をしとった連中が懲らしめたようだが、おかげで船がボロボロだ。  お前の部下は荒っぽくていかん。よく言っておけ」 本気で文句をつけるなら、セシルではなく後任の隊長に言うだろう。これは、早く元の地位に戻って来い、というシドなりの励ましなのだ。 だがそれにしても、バロンのほうでも魔物が現れたという、彼の言葉は気にかかった。 周囲のほとんどを壁で囲った街でもっとも恐ろしいのは、空を飛んで直接襲ってくる魔物たちだ。【赤い翼】の結成により、上空への備えは文字どおり、飛躍的に強化された。以前は追い払うことに主眼を置いていたが、深追いして止めを刺すことが可能になったのだ。 ……だが、狩っても狩っても、襲撃は一向に減らない。むしろ、徐々に増えつつある。 バロン王も事態を放置してはいない。既に次の準備を始めている。だが。 「陛下は新型の飛空挺を作れとおっしゃるが……  わしは飛空挺を、人殺しの道具になんぞしたくないんじゃ!  町の者も不思議がっておる……」 セシルの憂いを読み取ったかのように、シドが深く息をついた。 誇り高い真紅の翼は、多くの民をその下に庇ってきた。空行く船を見上げる眼差しは、信頼と憧憬から、いつか恐怖に変わってしまうのだろうか。今回の遠征が、その先触れとなるのかもしれない。
兵たちとの話し合いを終えたセシルを捕まえ、苦笑する彼の前にむりやり杯を押しやると、おもむろにシドは口を開いた。 「ところで、魔物が出たと言っとったが……わしの可愛い飛空挺は無事か?」 「魔法具を使ったから、損傷はないよ。そちらは?」 「ああ、二度ほどこっちにもちょっかいをかけて来おった。  留守番をしとった連中が懲らしめたようだが、おかげで船がボロボロだ。  お前の部下は荒っぽくていかん。よく言っておけ」 本気で文句をつけるなら、セシルではなく後任の隊長に言うだろう。これは、早く元の地位に戻って来い、というシドなりの励ましなのだ。 だがそれにしても、バロンのほうでも魔物が現れたという、彼の言葉は気にかかった。 周囲のほとんどを壁で囲った街でもっとも恐ろしいのは、空を飛んで直接襲ってくる魔物たちだ。【赤い翼】の結成により、上空への備えは文字どおり、飛躍的に強化された。以前は追い払うことに主眼を置いていたが、深追いして止めを刺すことが可能になったのだ。 ……だが、狩っても狩っても、襲撃は一向に減らない。むしろ、徐々に増えつつある。 バロン王も事態を放置してはいない。既に次の準備を始めている。だが。 「陛下は新型の飛空挺を作れとおっしゃるが……  わしは飛空挺を、人殺しの道具になんぞしたくないんじゃ!  町の者も不思議がっておる……」 セシルの憂いを読み取ったかのように、シドが深く息をついた。 誇り高い真紅の翼は、多くの民をその下に庇ってきた。空行く船を見上げる眼差しは、信頼と憧憬から、いつか恐怖に変わってしまうのだろうか。今回の遠征が、その先触れとなるのかもしれない。 -[[FINAL FANTASY IV プロローグ10]]

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