FF9 FF9 波乱万丈伝 ゾーン&ソーン#1

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二人は双子のアレクサンドリア宮廷道化師。名前はそれぞれ、ゾーン、ソーン。 「大変でおじゃるよ!」「大変でごじゃるよ!」 ゾーンの口癖は「おじゃる」、ソーンは「ごじゃる」。 ちなみに、「おじゃる」は「尾JAL」と変換されるのがうざったくてたまらない。 「一大事でおじゃる!」「ブラネ様に怒られるでごじゃる~!!」 二人は今年で米寿(べいじゅ)。立派なおじいちゃんだ。孫ももう四人いる。 「急ぐでおじゃる!」「急ぐでごじゃる!」 二人がアレクサンドリア城に宮廷道化師として招かれてから、もうかれこれ60年以上になる。 しかし、そのキャリアの三分の二以上を先輩道化師の前説として過ごしてきた。 こき使われ、お前らじゃ客が入らないとなじられ、さんざん罵倒されてきた。 悔しさで眠れない夜など、それこそ数え切れないほどあった。 そんな二人にチャンスが巡ってきたのは、15年前のことだ。 あの憎かった先輩道化師が病気で倒れたのだ。 二人は自分たちの時代が来ることを確信していた。 しかし、アレクサンドリア城の人々の視線は厳しく 「どうする?ドビュッシーさん倒れちゃって。あの人、ステージに上がれば 必ず笑いを取ってたからなあ…。」 「あれがいるじゃん。ほら、なんてったっけ、あの双子。」 「ああ、あれか…、ゾーンとソーン。 でもあの二人、あれでドビュッシーさんより年食ってんだぜ。もう引退じゃね?」 「まあ、でも、事態が事態だからさ。」 「でもオレ、あの人達の演芸で笑ったことないんだよね。センスが古いって言うか。 野球部の部室とかにいた方が、まだ面白い会話が聴ける気がする。」 「………。まあ、オレも笑ったことないけどね。」 裏でそんな冷ややかな会話が交わされてるとも知らず、二人は年甲斐もなくハッスルしまくった。 「ぬょ~ん」「てぃひ~ん」「あぱぁ」など、彼らを代表するギャグを舞台で連発した。

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