第1章 SeeD-45

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「貴様ほどの男、下手な情けは却って屈辱となろう。本気で倒す」 そう言うとウェッジは再び壁際まで後退し、百歩神拳の構えをとった。 ゼルは片膝をついたまま、 まだ立ち上がれない。かなりのダメージを負っているようだ。 「その様子では、次はかわせまい」 「勘違いすんな。状況は今でも俺に有利なんだぜ。アンタは壁際、逃げ場はないんだ」 苦しい息ながらも、ゼルが言い返した。 何を言ってるんだ、ゼル・・・俺は耳を疑った。 ウェッジに逃げ場がない?確かにその通りだが、この状況で奴に逃げる必要がどこにある。 奴には百歩神拳があり、その射程内にゼルを捉えているんだぞ。 百歩神拳を掻い潜り、奴に攻撃を加えることなど、今のゼルには不可能のはずだ。 「強がりはよせ。貴様はもう手詰まりなのだ。これで終わらせる」 ウェッジが気を練り始めた。 「手詰まりなんかじゃねぇよ。俺にだって飛び道具はあるんだぜ」 「なんだと?」 「食らえっ、バーニングレイヴ!!」 ゼルが渾身の力を込めて足元の床を殴りつけた。 ビシッ! 床に亀裂が生じた。亀裂はそのままウェッジに向かって疾走していく。 「なんと!」 亀裂は進むにつれてその規模を大きくしていき、ウェッジに到達する頃には巨大な裂け目となって、ウェッジを飲み込んでいった。 「ぐふっ、なんと・・・このような、技が・・・」 瓦礫の山に埋もれたウェッジが、切れ切れの息で言った。 「だから言ったろ、逃げ場はないって」 「そうだな・・・貴様の、言うとおり・・・わ、私の・・・負け、だ・・・」 言い残して、ウェッジは意識を失った。

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