ff6 - southfigaro-3

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サウスフィガロへの洞窟を抜けると、あたりはとっぷりと日が暮れていた。 ロックが取り出した自前の双眼鏡には、遠くにサウスフィガロの明かりが映っていた。 「今から夜通し歩けば、朝までにはサウスフィガロに着くかな?」 腕時計と月に照らし出される自分の影の角度を見ながら、ロックは提案したが、 エドガーは、難色を示した。 「サウスフィガロの状況も昼間の兵士に聞いたが、今晩はよしたほうがいい。 ここ最近の戦々恐々とした世情を踏まえ、夜には自警団が町の警備についているらしい。 行くなら夜が明けてからだな。」 「じゃあ、今日は野宿…」 と、ロックが言いかけたとき、ティナの明るい声が聞こえてきた。 「ねぇ、あっちに家が建ってるわ。泊まらせてもらえないかしら?」 ティナの指差した方向には、木造の一軒家が建っていたが明かりはついていなかった。 家の周囲は閑散としていて、数日間人が帰った気配はなかった。 家を一通り見回ったロックが、リビングで待っていたエドガーとティナの所に帰ってきた。 「奥の部屋にベッドがあるな。ティナが使えよ、おれとエドガーは交代で起きとくからさ。 ここの住人が帰ってくるかもしれないし。」 「分かった、ありがとう。ねぇ、ロックこれ何の花かな?」 ティナが見ていたのは窓辺に置かれた青々と咲いた花であった。 「おっ!『ブルー・ド・オアシス』別名『砂漠の涙』って花だな。 普通は、砂漠にしか咲かない花で、室内で育てるような種じゃないんだけどな。 品種改良でもされてるのか?よっぽど好きなんだろうな。」 「その花…」 エドガーは、驚きの表情でその花瓶を見つめている。 「どうした、エドガー?」 「い、いや何でもない…。」 エドガーは、花に背を向けソファーに腰掛けた。 「?じゃあお休みなさい。」 ティナが寝室まで案内したあと、リビングに戻ったロックはエドガーの隣に座り、 部屋の掛け時計に目をやった。 「さってと、夜明けまで五、六時間てとこか。三時間交代だな。コーヒーでも飲むか?」 ロックはそういうとキッチンの方へ向かった。 しばらくすると、キッチンからガサゴソと気になる音が聞こえてきたため、 エドガーは様子を覗いた。 「ロック?何やってるんだ?」 「へへっ!職業柄こういう普段使ってる食器を見れば、 大体どんなやつが住んでるのか分かるのさ! っとこれは……残念!たいした値打ちはないな。でも、珍しいな、フィガロ産の食器か。 機械類はしょっしゅう目にするけど、陶器も生産してるんだな。 ナルシェ産ミスリル100%ならジドールの貴族たちに人気だから高値で売れるんだけどな。」 「ロック…」 呆れた様子のエドガーにあわてて食器を棚に戻した。 「冗談、冗談!おれは、トレジャーハンターだぜ!ドロボウじゃないんだからな。 …コーヒー豆はないみたいだな。仕方ない、このハーブティーで我慢するか。」 「悪いが先に休ませてもらうぞ。三時間後起こしてくれ。」 そう言い残すとドカッとソファーに寝そべった。 どこか懐かしい淡いハーブの香りに包まれながら、エドガーは深い眠りに落ちるのだった。

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