ff6 - southfigaro-9

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ことの一部始終を聞いたエドガーは、しばし沈黙した。 幼く不安定だった頃のマッシュにとって、クレアは母親代わりであり、ダンカンは父親代わりだったのであろう。 そのダンカンが、実の息子に殺された。 弟子が師匠を殺したというよりも、マッシュの目には息子が父親を殺した様に映っていたに違いない。 家族を愛する男にとってそれは最も許しがたい行為でもある。 「…フィガロの王族であったことは聞いていましたが、マッシュは、それ以上のことは語ろうとしませんでした。 フィガロのことは少し気にしているようでしたが…。」 エドガーが窓のほうへふっと目をやると、外はいつの間にか漆黒の闇が支配していた。 「…色々とありがとう。明日は朝早いので今日のところは、これで失礼する。」 「たいしたもてなしもできませんで…」 と、頭を下げようとしたクレアをエドガーは制した。 「よしてくれ、頭を下げるのはこちらの方だ。 弟は…マッシュは、いい方々に巡り合えて本当に幸せだっただろう…。」 玄関まで見送りにきたクレアは、庭先で咲いているブルー・ド・レイの花を一輪積み上げエドガーに手渡した。 「マッシュが好きな花ですの…。もし、あの子に会うことがあれば、渡していただけませんか? …それと、いつでも帰ってきて構わないと、この老婆が申しておりましたと…。」 エドガーは、優しく微笑み左手を胸に当て片ひざをついた。 「女性からの頼みごとを断るわけにはまいりませんよ…。必ずお伝えします…。」 外に出たエドガーは、ポケットから一枚のコインを取り出し、強く握り締めた。 (あの時の選択はお互いにとって、間違ではなかった…。そう思っていいんですよね…父上、母上…。)

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