FINAL FANTASY IV プロローグ12

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「セシル…」 また、名前を呼ばれた。心配するような、心を覗き込むような… 「急にミシディアへ行ったかと思えば幻獣の討伐に行くなんて。それに戻ってきてから、様子が変よ…」 しばらくの沈黙の後に、「なんでもないよ、ローザ」と押し殺した声が聞こえた。 「だったら、こっちを向いて」 「ローザ…」 肌の柔らかい感触を感じた。すべてを包容するような、冷え切った手を暖めるような。 「僕は…僕はミシディアで、罪もない人々からクリスタルを!この暗黒騎士の姿同様、僕の…僕の心も!」 「…あなたはそんな人じゃないわ」 「僕は陛下には逆らえない臆病な暗黒騎士さ」 「赤い翼のセシルはそんな弱音は吐かないはずよ!」 間髪いれずにローザが叫んだ。そして今度はゆっくりと、静かに言った。 「そんなこと、いわないはずよ」 「私の好きなセシルは…」 セシルは手にぎゅっと力が込められるのを感じた。暖かい。 ここで初めて、セシルは振り返ってローザに目を合わせた。 「セシルの顔、久しぶりに見たわ」 「僕も、久しぶりに君の顔を見たよ」 しばらく見つめ合ったまま、二人は動かなかった。 「明朝ミストに行く。もう遅いから、君も休むんだ」 「うん…。ねえセシル、私、あなたにもしものことがあったら」 「だいじょうぶさ。カインも一緒なんだからね。さあ、もう心配入らないから…」 「気をつけてね」 その言葉を後に、セシルは体温が下がるのを知った。足跡が遠のいていき、やがてかちんかちんと、例の規則的な音だけが聞こえてきた。 「ありがとうローザ。だが僕は暗黒騎士。きみとは…」 夜は、長かった。
「セシル…」 また、名前を呼ばれた。心配するような、心を覗き込むような… 「急にミシディアへ行ったかと思えば幻獣の討伐に行くなんて。それに戻ってきてから、様子が変よ…」 しばらくの沈黙の後に、「なんでもないよ、ローザ」と押し殺した声が聞こえた。 「だったら、こっちを向いて」 「ローザ…」 肌の柔らかい感触を感じた。すべてを包容するような、冷え切った手を暖めるような。 「僕は…僕はミシディアで、罪もない人々からクリスタルを!この暗黒騎士の姿同様、僕の…僕の心も!」 「…あなたはそんな人じゃないわ」 「僕は陛下には逆らえない臆病な暗黒騎士さ」 「赤い翼のセシルはそんな弱音は吐かないはずよ!」 間髪いれずにローザが叫んだ。そして今度はゆっくりと、静かに言った。 「そんなこと、いわないはずよ」 「私の好きなセシルは…」 セシルは手にぎゅっと力が込められるのを感じた。暖かい。 ここで初めて、セシルは振り返ってローザに目を合わせた。 「セシルの顔、久しぶりに見たわ」 「僕も、久しぶりに君の顔を見たよ」 しばらく見つめ合ったまま、二人は動かなかった。 「明朝ミストに行く。もう遅いから、君も休むんだ」 「うん…。ねえセシル、私、あなたにもしものことがあったら」 「だいじょうぶさ。カインも一緒なんだからね。さあ、もう心配入らないから…」 「気をつけてね」 その言葉を後に、セシルは体温が下がるのを知った。足跡が遠のいていき、やがてかちんかちんと、例の規則的な音だけが聞こえてきた。 「ありがとうローザ。だが僕は暗黒騎士。きみとは…」 夜は、長かった。 -[[FINAL FANTASY IV プロローグ13]]

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