ff6 - southfigaro-13

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それまで騒がしかった店内が静まり返ったので、 ロックたちが店の入り口のほうへ目をやると黒ずくめの不気味な男が立っていた。 その足元には、猟犬で名高いハウンド犬が大人しくしている。 店内の注目を受けながらも、その男は静かに歩きロックの横のカウンター席に座った。 そして、グダにギルが詰まった袋を乱暴に投げつけた。 「シャドウだ…。おれ、はじめて見たよ…。」 「ばかっ!見るんじゃねぇ!目が合ったら…殺されっぞ!」 「おっかねぇ…。」 店内にはまだどよめきが残っていたが、彼はそんなことには慣れているようだ。 誰に忠誠を誓うわけでもない。その冷たい瞳の奥に隠された素顔を見た者は誰もいない… シャドウ 「…七千ギルはある。釣りはいらん。酒と…。」 足元にいるハウンド犬の頭をなでながら、 「こいつの餌を頼む。」とだけいった。 「なっ、七千ギル…。しょ、少々お待ちを!」 グダは、シャドウを目の前にした恐怖で声が震えている。 ロックは、その横で『フィガロの夜明け』の最後の一杯をグイと飲み干した。 「へっ!びびってんじゃねぇよ、グダ!おれが、叩き出してやる!シャドウ、勝負しやがれ!」 勢いよく立ち上がり、挑発したが、シャドウはロックを無視して飲み始めた。 「てっ、てめぇ!」「…やーめーとーけ!飲みすぎだぞ、ロック。」 二人の間に入ったのは、なんとエドガーだった。 「エ、エドガー!?何で、ここに…ってウップ…。」 ロックは、口を押さえ、一目散に店の表に駆けていった。 「グダ、勘定は?」 「も、もう頂いております!」 エドガーはうなずくと、グダにそっと耳打ちした。 「…内通者の件。引き続き頼むぞ。」 と、エドガーが言うと、グダは黙ってうなずいた。 「よし、ティナ!帰ろう!」 「う、うん!」 去り際にエドガーは、シャドウの背中を見ながらぽつりと独り言を発した。 「シャドウ……。金のためには親友をも殺しかねない暗殺者…か。出来れば関わりたくはないな。」 ティナは慌てて身支度を整え、 「ごめんなさい。」 と、頭を下げシャドウに謝ったが、チラリとも見ることなく酒を飲み続けている。 「ごめんね。」 頭を下げると、シャドウの足元でじっとしているハウンド犬が、ティナの顔を見上げていたので、ティナはその犬の頭を優しくなでた。 「よせ、他人にはなつかない犬だ。」 シャドウは、ティナの方へは一切見ずに、まるで独り言のように注意した。 ハウンド犬は、喜ぶことも嫌がることもなくティナの顔をただみている。 ティナは、グダとマグの方へも一礼し、エドガーの後を追い『白波亭』を後にした。

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