「Prelude8」

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「ガルテアの加護を、そなたに」  厳かな言葉と共に差し出された剣を、ラスラは受け取った。 ずしりと、重みが腕に伝わる。美しい剣。人殺しの道具であるというのに――それはどこまでも美しく、気高く見えた。 「ありがたき、幸せ」  人の命を奪うもの。けれど、それは同時に――守ることの出来る、唯一の武器でもある。 (――――……)   ラスラは視線を正面の国王からわずかに右に移した。王の斜め後ろには――  守るべき人が、そこにいた。  彼女は不安げな顔で――傍目にはいつものきりっとした顔にしか見えないだろうが、ラスラには彼女がその胸を不安でいっぱいに満たしているのがすぐにわかってしまっていた――こちらを見つめていた。  亜麻色の美しい、肩までの髪。儚げながらも、強い意志をその双眸に宿した気高き皇女。――生涯の妻。守るべき、者。  ラスラは彼女を見つめた後、体を反転させながら剣を抜いた。驚くほど手に馴染む柄を握り締めて、一気に鞘から解き放つ。  そして、固く掲げ――声を張り上げた。  数万人の兵士たちが、ラスラの声に答えるように声を張り上げた。それぞれの守るべき者への、別れの言葉と――再開を約束するかのような、力強い声だった。

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