第1章 SeeD-32

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「そりゃ命令違反だぜ」 すかさずゼルが抗弁する。 「何だよ、チキン野郎。お前だって、さっきまで退屈だと言ってたじゃねぇか」 「それとこれとは別だろ。あのなぁ、これ、ただの戦闘じゃないんだぞ。 SeeD認定試験なんだ。勝手な行動はマイナスでかいぜ。 おいスコール、お前からも言ってやれよ」 「・・・・・・」 俺は直言を避けた。 ゼルの言ってることは正しい。しかし、サイファーの気持ちも判らないでもない。 敵目標が電波塔にあると判明した以上、ここに留まり続ける意義は薄い。 「もういい、お前らはここに残れ!俺一人で行く」 業を煮やしてサイファーは言った。 「敵を目前にして怖気づく野郎は、かえって足手纏いだ」 サイファーは電波塔めざし疾走していった。見る間にその姿は消えてなくなる。 「マジかよ、アイツ・・・どうするスコール?」 呆然とサイファーを見送りつつ、ゼルが言った。 「班長を一人で行かせる訳にはいかないだろう。俺たちも行こう」 「チッ、仕方がねぇな・・・恨むぜ、B班の人選した奴」 サイファーを追う俺とゼルは、ようやくの事で丘の頂上に到達した。 サイファーの姿はどこにも見えない。物陰から電波塔施設の様子を伺う。 入口には門衛と思しきガ兵が二人、倒れ伏している。恐らくはサイファーの仕業だろう。 「サイファーの奴、もう中に侵入しちまったのか、やれやれだぜ」 ゼルがつぶやいた。 その時、だしぬけに背後で声がした。 「みぃ~つけた♪」

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