竜の騎士団 13

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 その様子を見上げ、カインはほんの少しだけ笑った。そして副長に向き直った。 「フクチョウ。ご心配をおかけしました……」 「…ご子息……」 「父の………槍です」  両手で槍を差し出すと、少年は深々と頭を下げた。彼がそうしたまま、しばらくの時が流れた。 副長の心にはまたいくつもの言葉が駆け巡った。慰め、謝罪、賞讃、そしてそれらは全部、やがて ひとつの想いに溶けていった。何も必要な言葉などない。ただ誇らしかった、なぜなら。 顔を上げたカインは、もう幼子ではない精悍な男子の面構えになっていたから。  再び羽ばたきが近づき、見上げると飛竜が戻ってきていた。忠臣である飛竜は、自由をその翼に 与えられてなお、迷っているようだった。  そんな飛竜を後押ししてやるように、カインは淋しげに首を振った。  だが、彼は飛び去らなかった。じっと宙に浮いたまま、カインを見つめていた。  カインはもう一度首を振る。そうして手で示した。お前は自由なんだよ。空に帰るんだ。  けれど、飛竜は深い穏やかな真紅の目にカインを映し続け、やがて再び声を上げた。そして カインのもとに降り立つと、頭を垂れて双瞼を閉じた。    王は、カインを認めたのだ。

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