竜の騎士団 16

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「団長、後ろをご覧なさい」  振り返ると、背後には整然と立ち並ぶ騎士達の姿があった。よく知った顔も、嫌いな顔もあり、 幼い頃に憧れた者の顔もあった。誰一人として彼より若いものなどいない。その全員が、自分に 敬礼をしているのだ。カインは身震いした。 「副長……彼らが私などを認めるはずがありません。私には……」 「ご子息」  副長は、彼ら二人だけの間の暖かい口調で囁いた。 「貴方はご自分の名をお忘れか?」  そうして彼は、カインの持つ槍の柄をゆっくりとなぞった。槍は美しく磨き上げられており、 そして、かつては血糊で見えなかった、柄に刻まれているその文字をカインは見た。  ハイウィンド。  胸が震えた。先程の震えとは違う。身体の底から、突き上げるような震え。  血が騒いでいるのだ。カインは悟った。そして槍を強く握りしめると、ふいにその重みは風の ように消え失せた。  ハイウィンドの血が、カインの右腕を高々と押し上げた。 「────騎士団に栄光あれ!!!」 『騎士団に栄光あれ!!!』  騎士達は沸いた。若き騎士達はその威容に見惚れ、往年の団員達は懐古に胸を焦がした。  誰もが確信していた。竜騎士団は不滅だ。誇り高き騎士団に、栄光あれ。  王を失った竜達は、あらたな王の帰還に雄々しく吼えた。

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