一節 航海7

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 ひとりきりになった船室の中で、セシルは眉をひそめる。 (どうしたんだろう?)  今朝から感じていたことだが、ギルバートがどこか自分を避けているように見えるのだ。  別に機嫌が悪いといった様子ではなく、自分にしても特に心当たりなど見当たらないのに。  セシルが首を傾げていると、俄に頬をふくらせて不機嫌な様子のリディアが帰ってきた。 「どうしたんだ、リディア」 「どうもこうもないわよ、ギルバートったら! そこで今ギルバートとすれ違ったの。だから この間約束してたポーションの作り方を教えてくれっていったら、急に逃げていっちゃうんだもん」 (・・リディアも?)  内心で疑問を深めながら、セシルは軽く笑った。 「そうなんだ。嘘つきだな、ギルバートは」 「うん、勝手なの!   ・・でもギルバート、なんだか変。昨日だって、セシル達と別れた途端、急に疲れたって 言って部屋に帰っちゃったのよ。それも、一緒に来ないでくれなんて言うの。どうしたのかな」  不安そうになるリディアをなだめていると、扉を開けてヤンが戻ってきた。 「やあ・・おや、ギルバート殿は?」 「そこで会わなかったか? ブリッジにいくと言っていたんだが」 「いや、私もブリッジから戻ってきたのだが・・」  ヤンは眉をひそめたが、すぐに顔を緩めて椅子にもたれこんだ。だいぶ疲れているらしい。 額に浮かんでいる汗が疲労を物語っている。 「ところで」  息を整えてから、ヤンは椅子にもたれたままセシルを見た。 「バロンに着いてからのことなのだが・・」

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