一節 航海16

「一節 航海16」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

一節 航海16」(2007/12/13 (木) 04:35:23) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「・・ブホッ、ゲホ!」 「セシルッ、無事か!!」  水圧によって痛烈に船室の壁に叩き付けられ、軽い失神に陥っていたセシルは目を開けた。  呼びかけてきた船長をはじめ、どこかしこにずぶ濡れの船員たちの姿がある。しかし、 その数は先ほどの半数近くにまで減っていた。 (────リディアは!?)  頭に木霊する少女の叫び声。顔を上げると、セシルはすぐさま船のへりに身を乗り出して、 海面に目を走らせた。海に浮かぶ人々の中に、懸命に彼女の姿を求める。 「あそこだ!」  いつのまにか横で彼女を捜していたヤンが、海面の一端を指差し声を上げた。緑の髪を水に ゆらめかせながら、リディアが漂っていた。どうやら気を失っているらしい彼女は、やがて 彼らの見る中で暗い海の中に消えていった。 「リディア!!」  すぐさまヤンが水面に飛び込む。セシルも続こうとへりに足をかけるが、その途端、打ちつけた 背中に激痛が走り、倒れ込んだ。 「うっ!」 「だ・・だめだ、セシル。その身体で、鎧を着たままじゃ、き・・君の方がもたない」  ギルバートが苦しげにセシルを引き止める。不甲斐なく、打ち震えながらセシルが海をにらみ つけていると、リヴァイアサンが大きく雄叫びを上げた。そのの喚び声とともに再び白い大渦が 巻き起こり、海神は水中深くに潜っていった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。