二節 試練1

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「うん……」 海から規則正しく聞こえる波音がセシルの意識を取り戻させる。 頬に触れる波飛沫と潮風に乗った暖かい風が頬に触れる。 その感触がセシルの意識をよりはっきりとした物にさせる。 その日、一番の高さに来た太陽が彼を容赦なく照りつけていた。 「ぐっ」 立ち上がろうとすると全身が痛む。 砂浜は傷ついた彼の体を癒すには少しばかり物足りなかったようだ。 「ここは?」 遙かに広がる水平線を見上げ、おもむろに口からそんな言葉を漏らす。 心地の良い風がセシルを撫でる。空は雲一つない快晴であった。 「!」 そして記憶の中から直前までの事を思い出すのには多少の時間を要した。 そう、自分は…… 思わず両手をまじまじと見つめる。助かったのだという考えと同時に、あの時の状況が克明に蘇る。 バロンを目指す為に船は出向してまもない時にリバイアサンに襲われた。 まがまがしい海神と言うに相応しいそいつによって起こされた大波はその場にいる人間全てを 船ごと流し込んでしまった。その場にいた者の命……想い……何もかも見境なく。

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