二節 試練6

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「どうかした?」 「え・・あの、その・・・」 「ほら、こっち」  部屋の入り口で、なにやら緊張した様子で立ち止まるローザを窓まで招くと、セシルは ひょいと窓枠に足をかけた。 「ちょっと、セシル!?」 「大丈夫、大丈夫」  外壁にたらしていた梯子をつかむと、するするとセシルは塔の上に登っていった。 「ほら、君もおいでよローザ」 「え・・えぇ」 「下を見ないようにね」  高所の強い風の中を、恐る恐ると梯子を上ってくるローザに手を差し伸べて引き上げてやる。 ちょっぴり危ないことをこなしたことで、二人の心は少しばかり沸き立っていた。 「怖かった!」 「最初はそうだよ」 「いつもここにいるの?」 「いや、ちち・・陛下に、子供の頃叱られるとここに逃げてきたんだ。懐かしいな。  ここに呼んだのは君が初めてだよ」 「そう・・。あぁ、すごいわ・・!」  頂上から見下ろす風景に、ローザは息をのんだ。夜の黒に塗られた巨大なバロンの城塞、 そしてその向こうに見える不知火のような街の灯。それらを美しい星空が見守っていた。  絵画のようなその風景をながめながら、二人はパンを頬張りつつ、他愛も無い話を交わした。

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