二節 試練7

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「・・ローザ」 「なぁに?」  パンが底を尽きて、なんとなくセシルは尋ねてみた。  別に何か、特別な答えを期待したわけでもなかった。会話がとまって、ふとその言葉が 口をついて出てきたのだ。 「どうして今日に限って、僕を誘ったんだい?」  ローザは視線をセシルから離すと、また黙ってパンを口に含みだした。  まずいことを聞いたかな。セシルが謝ろうとした時、 「・・うぅん、別になんでもないの。ただ、カインとは二人だけでいたことはあったけど、 あなたとは無かったから・・それだけ。・・嫌だったかしら?」 「そんなことないさ!」  なんだ、そんなことだったのか。  セシルは妙に安心して、笑いながらかぶりを振った。ローザもそれに笑顔で答える。 でもその笑顔にはどこか淋しそうな色があって、そして夜空に目を移していたセシルは それに気づかなかった。 「ローザ、月が出てるよ。今夜は満月みたいだ」 「・・綺麗ね」  セシルは気恥ずかしさからか、半ば無理矢理ローザから目をそらし続けるように月を見上げた。 だから、彼女が見ていたのが月などではなく、幸せそうな彼の横顔であったことにも、もちろん 気づきはしなかった。

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