二節 試練8

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 瞼を開けると、日が射して黄金色に輝く砂が目に入った。  セシルは顔を上げた。頬には涙の伝った跡が残っていたが、その瞳から弱さは消えていた。  ────僕はまだ生きている。そして、ローザも。  なすべきことがあった。こんなところで踞っていることなど許されない。  いや、誰よりも彼自身が許せはしない。  セシルは立ち上がり、辺りを見回した。落ち着きを取り戻した頭で、昨日最初に唱えた疑問を もう一度吟味した。 「ここはどこだ?」  残念ながら目に見える範囲ではめぼしいものは見当たらない。西方には半島がのびており、 反対には陸が続いていた。幸いにか進む方向は一つしか無いようだ。 「・・待っていてくれ、ローザ」  最後に、惜しむように海を一瞥すると、彼は決意して歩を踏み出した。踏みしめる重い砂の 感触が、孤独の重量を感じさせたが、セシルは立ち止まらず、迷いのない歩調で進み続けた。  やがて、セシルの目に街の外塀らしきものが映った。それを得て彼は歩調を強めたが、 しばらくして今度は不意に驚いたように足を止めた。  だが、すぐに彼は再び歩み始める。  徐々に明らかになってくるその姿に、ひそかに胸の鼓動を早めながら。

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