二節 試練15

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「偶然ではない」 「え?」 「それはそなたに与えられた試練だろう」 「試練・・」 「そなたは大きな罪を犯し続けた。誰のせいでもない、それはそなた自身が生んだ咎だ。  暗黒剣という強大な力がそなた自身に及ぼす闇の力に、そなたは抗う事が出来なかったのだ。 そしてそなたの弱さによって多くの者が傷つけられた。彼らを失った者たちは、今なお苦しんで いる。このジェシーもその一人だ」  ジェシーの憎しみに満ちた目がセシルを睨む。だが、長老はふいに小さく笑った。  「だが、不思議かな。そなたの心はそれでもなお、その光を失っておらぬようだ」 「・・・」 「・・あるいはそなたの持つ光が、自ら宿主たるそなたをここまで運んだのかもしれぬ。 そして今、そなたは己の意志でこの国に足を踏み入れた。もう試練は始まっているのだ。 そなたはその試練に打ち勝たなければならぬ」 「どうすれば・・」 「・・パラディン、という名をご存知か?」  ハッとするセシル。突然ジェシーが取り乱して口を挟んだ。 「長老! そんな話をこの男にする必要はありませんっ!!」 「口を挟むでない、ジェシー」 「でも!!」 「・・・聖騎士、パラディンですか?」  ジェシーが驚きに目を見開いた。長老は重々しくうなずく。 「その通り。闇を振り払う、心に無限の光をたたえた聖騎士、それがパラディンじゃ。  かつて世界を襲った危機の折り、一人の男が、魔物の巣食う危険な山の山頂にあるという 神の剣を求めて旅立った。苦難の末に剣を手にした彼は、剣とその心の光とで世に安息を齎した。 ・・ミシディアに伝わる聖騎士の伝説じゃ」 「私にパラディンに・・なれ、と?」 「口を慎みなさい! 暗黒騎士!!」 「ジェシー!!」

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