二節 試練17

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「・・わかりました・・・」    ────運命。あまりに実感の湧かない言葉。  だが、今このとき自分がここに、それもたった一人で訪れたことが偶然とは思えなかった。  この人は試練と言う。何だっていい、もしも僕が、既にその道を歩み始めているのだとしたら。  ・・どのみち、今の僕にはこの人にすがるしかない。信じてみよう、この人の言葉を。  他のなによりも、僕自身を救うために。  「では・・、すぐにでも東に向かおうと思います」 「あいや、待たれよ」  踵を返すセシルを長老が引き止めた。 「多くの者が試練の山を志していったが、誰ひとりとて戻ってはこなかった。そうして志半ばで 倒れていった彼らの骸は山の魔物にとりつかれ、今では山は不死者たちの巣窟じゃ。そなたの 暗黒剣だけでは分が悪かろう。ひとつ、魔導士の供をつれてゆくがよい」 「供・・」  一瞬、ジェシーの顔が頭に浮かび、彼はそれを断ろうとしたが、 「パロム、ポロム!!」  長老が手を打ち鳴らす。すぐに奥から小さな少女がやってきた。 「お呼びでしょうか」 「む・・パロムはどうした?」 「・・パロムったら、また!」  途端に少女は腹立たしげにかぶりを振る。  と、次の瞬間、セシルの背後で爆発のような音とともに煙幕が上がった。

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