二節 試練20

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「まったく・・!」 「申し訳ありません、長老様」  かぶりを振る長老と、それに頭を下げるポロム。先ほどの長老の素早い対応にしても、 二人の仕草からどことなく慣れた印象がするのは、きっといつも同じようなやりとりを 繰り返しているのだろう。 「見ての通りの腕白でな」 「・・・」 「セシル殿、これだけは言っておこう」  自分に向けられている疑心を見透かしているのか、長老は声を低くして語りかけた。 「わしは決して、くだらん酔狂なぞでこの子らを選んだわけではない。  もちろんもっと年かさの、より有能な魔導士はいくらでもおる。だが今のそなたに必要なのは 彼らではない。そなたが求めているものは、ただ力のみを携えただけでは得られぬのじゃ」  それでも彼はまだ納得しかねていた。しかし、長老の声には依然として抗いがたい 響きが含まれていて、それが彼に口実を与えない。 (・・もういい)  セシルは息をついた。不安は消えないが、今は何より時間が惜しい。  軽く頭を下げ、出口へと向かった。その背中を小さな少女が追った。  部屋の出口で、少女はふいに立ち止まる。  振り返ったその瞳は、先刻までの健気なものではない。鋭く、痛みを伴うような意志を秘めた 少女の眼差しが老人に向けられた。彼もまた堅固な眼差しでそれに応え、暗黙のままに彼らは 言葉を交わした。  少女は小さく頷き、また暗黒騎士の後を追っていった。  

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