二節 試練24

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いつの間にかセシルの足は町外れにある墓地に向かっていた。 急遽作られたような粗末な十字架が惨劇を傷跡を物語っていた。 「誰……」 夜闇に紛れてその声は聞こえた。 大きくなる足音、同時に闇にうごめく影が接近してくる。 煌々とする月明かりに照らされた影は少女であった。栗色の長髪を夜風が優しく 撫でる。 セシルを見た途端、少女は少し驚いた。 「あ、あなた……」 「ジェシーか?」 とんがり帽子に黒の法衣と言う黒魔導師特有のいでたちではなかった為、 彼女が誰か理解するのにやや時間がかかった。 月夜にたたずむ彼女は昼間の姿からは想像がつかぬほど儚く、美しく見えた。 「何しに来たんです?」 「いや、特に用はなかったんだけど」 何故ここに来たのか……それは自分にも分からなかった。 「用がないのにここに来たんですか……」 少しばかり声が震える。

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