三節 山間3

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 それにしても。セシルは首を傾げる。  どうして誰に教えられるわけでもなく、次々と新しい魔法を覚えることが出来るのだろうか? 「いいえ、学書で学べることは、一通り長老様から教えていただきましたので」 「………それって、…全ての魔法を覚えてるということ……なのかな?」  五歳の子供が? 「まだ使うことは出来ませんけど……」  俯きながらポロムは恥ずかしそうに笑った。言葉を失うセシルを尻目に、向こうではパロムが また新たな魔法をゴブリンに放っていた。  まだ山を見上げている二人を眺めながら、セシルは苦笑した。  いや、まったく、ここにきてはセシルも彼らへの評価を改めざるを得なかった。子守りなど ではない。双子はもう立派な仲間だった。初めて出会ったとき、彼らの同行を断ろうとしていた 自分が思い出され、つくづくセシルは頭のあがらない思いだった。  それから、もう一人の仲間に目を落とした。  道程を軽くしてくれたのは、双子だけではない。 「セシルさん!」  ふいに上がったポロムの叫び声、続けて、急に辺りが暗くなる。  見上げると、頭上をはためく巨大な大鳥が彼らに影を落としていた。 「…こんな所にズーがでるのか!?」  彼が驚くのも無理はなかった。目の前のズーを始めとして、巨大鳥族は本来はるか高空に 生息するものだ。魔の生物である彼らは、生涯その翼を休めることが無いとすら言われ、 こんな低地で見かけることなど、まずあり得ない。これも世界に起きている異変の影響だろうか。

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