一節 闇と霧の邂逅17

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そんな二人を余所目に炎はますます勢いを強くしていた。 ほんの少し前まで人が暮らしていた建物は見るも無残な炎のかたまりと化して 中から逃げ場を失った熱気が勢いよく窓や扉を吹き飛ばす。 ――ガシャン! 粉々になった窓ガラスと内側から噴出す炎の渦が、身を竦ませて怯える少女にも襲い掛かろうとする。 吹き荒れる火の粉を軽く手で振るい払って、低い声でカインはセシルに問う。 「それよりここは危ない。早く村を出ないと…あの子はどうする?」 セシルはカインの方へ向き直らず、軽く頷いて意思を伝えた。 「ぼくらが連れて行くしかあるまい! さあ…ここは危険だ。とにかく…ぼくらと一緒に!!」 セシルは視線を少女の方へ戻した。少女はまだ呆然と膝をついたままで赤い炎を背に やり場がないように手を宙に浮かせて悲痛な表情でセシルとカインを見ていた。 株との隙間から見える世界から少女を外したくても、朱色に染まる視界の全ては現実を見せ付けてしまう。 この子の身を守ることが僅かでも罪滅ぼしになるのなら。 渦巻く炎がセシルの脳裏に鮮血をフラッシュバックさせる。 クリスタルの略奪を――

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