FF5 63 飛竜18

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フォルツァは、形容しがたい複雑な感情を抱いたが、すぐに捨て去った。 そもそも、そんな悲しみにくれる資格など自分にはない。 そして今の状況・・・1対4。勝ち目はゼロだ。 「いや・・・まいった・・・」 少しの間バッツは剣を突きつけていたが、すぐに納めた。 どっかりとその場に座り込んで、フォルツァはうなだれた。 そうして落ち着くと、何故かいつもより頭がすっきりした。 フォルツァは妻とは言いつつも、そう思ったこともないし、抱いたこともない。確かにバッツが言うとおり、フォルツァとマギサの 関係を言うとすれば、それは”相方”または”相棒”が最も適切だろう。 しかし、その相棒と共に人を殺めてきた。そんな自分が相棒の死を悲しんでやれる資格などない。 「何故、山、来た?」 低い声でフォルツァが聞いた。 「飛竜だよ、タイクーン王のなんだが、そいつを追ってきた」 バッツが懐から小型の魔法飲料ポーションを出して、ガラフとファリスに渡しながら答えた。 そのバッツに頭だけ向き直り、フォルツァが言う。 「・・・・・・・山のテッペン、そこにいる」 バッツたちは驚き、一瞬沈黙する。 「そいつは本当か?」 聞いたのはファリスだった。 フォルツァは虚空を見つめたまま、ゆっくりとうなずいた。 四人は顔を見合わせていたが「とにかく行ってみよう」というバッツの言葉で、頂上を目指して歩き出した。 (あの人は、この先ずっとひとりなのかな・・・) レナはそう考えたが、その後のフォルツァのことを何も想像できなかった。 王城の外のことを知らない自分。ましてや孤独など想像すらできない自分が、なんとなく歯がゆい思いだった。

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