第1章 SeeD-50

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その自問自答――厳密には、答え等も出ていないし、門問というべきものでもないのだが。 それが全て終わらない内にでも俺は駆け出していた。 走る間、俺は無心に近かった。一心不乱と言うべき感覚で走り続けた。後ろからは機動兵器が 市街の道路を、道行く建物を砕きつつ、足音を近づけていた。 爆発音が響き、焦げ臭い、臭いが漂ってくる。 だが、何事が起こっても俺は振り返らなかった。 見ると、視界の先には薄汚れ、黒混じりの砂浜が広がっていた。 その先には俺をドールへと誘った、小型機動艇が停泊している。その前にはゼルとセルフィが 立っている。俺を待っていたのか? ゼルの方は手を振っている。急げ。そう言っているに違いない。 これは、助かったのか。ほんの一瞬だけ、俺に安堵感が湧き出てくる。 そして、それは直ぐに打ち砕かれる。ゼルとセルフィが乗り込むと、小型艇の入り口は閉ざされた。 それどころか、出向の為に段々と砂浜を離れ始めている。 アレに置いて行かれると俺は間違い無く…… その思いが、俺を更に加速させる。 入り口は閉ざされた。だがまだ、小型艇の上に配備されるタラップに飛び乗れば。 咄嗟の考えがで俺はタラップへと大ジャンプする。 沖へと進め、砂浜から距離を離す小型艇に俺の体は段々と、距離を縮めていく。 タラップまで後、五メートル――二メートル――一メートル。 だが、間に合わない。 駄目か。そう思ってタラップの上を見るとSEED服を纏ったキスティス先生が、小型艇に備え付けてある、機関銃の照準を 機動兵器へと向けている。 俺が飛ぶのと同時、或いはそれよりも前に一斉に機銃掃射。その大きな機関銃から一斉に解き放たれた弾丸は 次々と機動兵器へと向かっていく。 これには流石の鋼鉄のボディに加え自己修復機能まで備えた兵器も答えただろうか。 俺の背後で、先程――逃げている時に感じた爆発とは比べ物にならない位の爆風が吹き上がった。 その爆風は俺を……沖の方向へと吹き飛ばし、小型艇との距離を縮めていった。

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