第1章 SeeD-59

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噂通りというべきか、俗に言う「秘密の場所」とやらは、人で賑わっていた。 各方面から様々な事情を含んだ話声が飛び交い、それが混ざり合い、辺り一体の 喧噪を作り出していた。 「ここ、久しぶりだわ」 場所のせいか、少しはしゃぎ気味な声のキスティス先生が喋る。 「今、何時くらいかな?」 「丁度……日を越えた辺り、零時過ぎだ」 そんな先生とは対照的に投げやりと言う表現が、一番しっくりくる声色で 俺が返答する。 自分で言うのもなんだが、無理もない。 先程のキスティス先生の覇気に押されて、此処まできたものの、元々 が乗り気で無かった上、実際にこの場所に来て俺は更なる憂鬱に見舞われていた。 「それで、どうするんですか?」 俺は、ぶっきらぼうに先生に訪ねる。 用件は聞かされていなかったが、教官たる者がこの場所に来てやる事は、注意くらいだろう。 最初からそう判断してた俺がこんな事を訪ねるのは、いわば先生に対する、催促みたいな ものだ。 つまりは、早く用件を済まして帰らしてくれ。そういう気持ちを全力を込めての言葉だ。

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