第1章 SeeD-63

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その「声」が俺の耳へと伝わってきたのは、秘密の場所とやらを出てから ほんの少しの時間も経っていないだろう。 キスティスにああ言ったきりの俺は、そのまま部屋へと帰る事に何故だが、 躊躇っていたのか、何処へ行くともなく訓練施設の内部を彷徨っていた。 ガーデン内の一フロアでしかないのこの場所は規模こそ小さいものの、 実戦を見通してのバトルフィールドが構築されている。 各地に植えられた木々に、小規模な湖。人為的に作られた岸壁はまるで 自分が何処かのジャングルにでもいるかのように錯覚させるには充分過ぎると 言っても過言ではなかった。 その施設内を何気なく一回りして、帰路へと付こうとした時であろう―― 悲鳴混じりのSOSが、人口サバンナの喧噪を打ち破り俺へと届いた。 「何だ……」 俺の呟きと同時に人外なるものの呻きが続く。成る程……ベストタイミングな答えだ。 「まさか、そんな奴がいるとはな……」 自分の導き出した解答に対して、俺はまだ見ぬ救済者に対して呆れを感じた。

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