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酒場 看板娘の一日の始まり
ティファは小さな溜息を吐いた。
小さな小さなその溜息は、天井の空調設備と手元のコップの擦れる音に簡単に隠れる。
(クラウド……まだ、帰ってこないのかな?)
食器洗い機で取れなかった汚れに水をつけて、やや乱暴に擦りながらぼんやりと思う。
携帯を所持しているくせに、常に留守電。一方的にこちらの報告しか聞かない。
(……寂しいくせに)
それは、誰に向けられた言葉だったのだろう?
出ないくせに携帯を手放さないクラウド。
そんな彼を引き止めも追いもしない自分。
遠慮して甘えてこないデンゼル、マリン、孤児達。
エッジの場末のバー、セブンスヘブンの中には寂しさが蔓延しているようだ。
洗い終えたコップを戸棚に仕舞う。
食器洗い機からいくつかコップを新しく掴み出し、綺麗な物は横に置き、汚れがある物は水をためたボウルの中に突っ込んで、細く水を流しながら洗い始める。
ルルルルル……ルルルルル……
すぐに顔を上げる。そして、すぐに顔を下に戻す。
クラウドからの連絡ではない。二階の小さな事務所の電話だ。運び屋を営むクラウドへの依頼だろう。
「……もうここには居ないんですよー」
ぼそりと呟いても電話相手には通じない。諦めて手を拭き、荒い足取りで二階へと向かい、デンゼルの様子をすれ違いざまに見ながら事務所へ。旧型の電話の受話器を取った。
「はい ストライフ・デリバリー・サービスです。当社はなんでも……どちら様ですか?」
馴れ馴れしく話し掛けてきた相手に問うと、軽い口調で長ったらしく説明を始めだした。怪訝に思いながら聞いていると、相手の横から割って入った低い声が告げる。
その名に、小さく笑った。二年ぶりの名前だ。
覚えている、その口調を真似る。かつては敵対した者の口癖。
「覚えてるぞ、と」