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勝った。
崩れ去った柱を一瞥し、ティファはそう思った。
マリンも同じ考えだったようで、「ティファ!」と叫び、笑いながらこちらへ走り寄ってくる。
ティファも微笑み、膝と腰を曲げてマリンと視線の高さを同じにしたその時、場違いな音が辺りに響いた。
パン パパパパーパーパーパッパパー♪
あまりに場違いすぎて、ティファもマリンも一瞬、動きが止まった。
周囲を見まわす。また鳴った。
その時、ティファはこの音の正体がやっとわかった。
…携帯電話の着信音。
そして、その着信音が聞こえてくる方向は―――
ティファが慌てて振り返るのとほぼ同時に、ロッズが瓦礫を吹き飛ばして再び現れた。
3,4回目のコールでやっと携帯の通話ボタンを押した。
「…ここじゃねえなぁ」
携帯を耳に押し当て、暫くしてから、ロッズ。
「泣いてねぇよ!!」
今度は怒鳴りだした。その後、何故かティファとマリンを拗ねた表情で睨みつける。
「…わかった」
心なしか、声も拗ねていた。
そして、「連れてく」と短く告げて電話を切った。
ティファは脈絡が全くわからない会話に少し面食らっていたが、それ以前に大男の健在ぶりに驚いていた。
リミット技をしこたま叩きこんだのに、ダメージを受けた様子はおろか、傷一つみられないからだ。
ロッズは気だるげに首をコキコキと回している。
「…続きだ」
これまた気だるげに言うと、再び格闘の構えに入った。