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クラウドが教会に現れたのは、それからだいぶ時間がたった頃だった。
破壊し尽くされた教会を訝しげに見まわした彼は、教会の中に茂る花畑の上に倒れている人影を見つける。
ティファだった。
慌てて駆けより、彼女を抱き起こすクラウド。意識がない。
「…ティファ?」
呼びかけてみる。応えない。
「ティファ!!」
強く呼びかける。すると、閉じていた目がうっすらと開かれ、黒い瞳にクラウドの顔が映った。
「遅いよ…」
それだけ言う。弱りきり、かすれた声だった。
「誰にやられた?」「…知らない奴」
相変わらず弱りきった声で、短く答えるティファ。だが、次の瞬間に「マリン!?」と叫び、勢いよく体を起こした。
そして、また気を失ってしまった。
すかさず辺りを見まわすクラウド。
だが、教会のどこにもマリンの姿はない。ついでに、マテリアを入れておいた箱も消えている。
「くそっ!」
毒づいたが、その直後、クラウドの左腕に激しく鋭い痛みが走った。
とっさに右手で左腕を押さえる。と、左腕を包む布から、黒い膿が滲んだ。
黒く汚い膿はそのまま腕を伝って落ち、花を汚した。
同時に、先程のサブリミナルのような光景が頭の中に閃いては消える。しかし、今度は少し違った。見覚えのある光景だ。
それは、炎につつまれているあいつの姿。
不気味で危険な笑みを浮かべて、炎の中に消えて行くあいつの姿。
「――セ――フィ…」
その名が、口をついて出てくる。
一瞬だけ、全く別なイメージが割りこんだ。これまでとは全く違う、清らかな湖の光景が。
目を閉じていた事に気づき、開くクラウド。
クラウドとティファは、花畑の中に倒れていた。
花畑と言っても、教会の花畑ではない。どこか、全く違う場所。
クラウドは、再び目を閉じた。
狼が、見ていた……