FF7AC Suffering and Insanity2

「FF7AC Suffering and Insanity2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

FF7AC Suffering and Insanity2」(2007/12/13 (木) 07:23:14) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 精神と肉体が完全に回復すると、彼は開いたばかりの目で辺りを見回した。  口で空気を吸い込み、耳に吹き降ろす風の音を受ける。  手で。足で。肌で。体に備えられた全ての感覚を使って周囲の状況を探った。  そこは巨大なクレーターの中だった。あたりには白く薄い靄が充満し、白っぽい岩でゆるやかな坂が形成されている。  もっとよく辺りを見ようと地面に手をつき、ゆっくりと体を起こした時、すぐ近くからなにかの悲鳴が聞こえてきた。  その悲鳴のあまりの大きさに驚き、背後を振り返る。  そこには、彼によく似た姿をした生命が二つ、叫び声を上げながら地面をのたうち回っていた。  両手で顔を覆い、大きすぎる体をふりまわしてもがいている。一部の筋肉が痙攣を起こしている。  僕の兄弟だ、と彼は思った。さっきの僕と同じ苦しみを与えられてるんだ。  ふたりは助けて、助けてと叫び続けていた。。野太く、しかし甲高い悲鳴。聞くに堪えない悲鳴。  彼は愕然として、よろよろとふたりのそばに歩み寄った。  そこにあるのは苦痛だけだった。苦しみだけがそこにある全てを支配していた。  彼はふたりのそばに座りこみ、ふたりが苦痛に悶えるのをただ見下ろすことしかできなかった。     そのうち、ふたりに変化が訪れた。  悲鳴がみるみるうちに収まり、がむしゃらに暴れまわっていた体が落ち着きを取り戻していく。  彼は彼のときと同じように、母が助けに来たのだとわかった。  ―――どうして?母さん―――  彼は無意識のうちに呟いた。  ―――どうして、こんなに、苦しむの?―――  そんな彼に答えるように、彼の思考は急速にまとまっていく。  ―――僕たちの、この苦しみ―――  まるで誘導されるかのように結論が出る。  ―――それは、この星のせいだ―――  やがてふたりが苦痛から開放され、完全に覚醒したたとき、彼はふたりに言った。  行こう、と。    一緒に母さんのところへ行こう。家族で力を合わせて、星に仕返しするんだ。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。