「FF7AC Violators4」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「FF7AC Violators4」(2007/12/13 (木) 07:40:12) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
話に聞いたとおり、記念碑は破壊されかけていた。頂上の円盤状になっている部分には大穴が開いており、張られているワイヤーの何本かが千切れ、だらりと垂れ下がっている。
その下に、子供たちが記念碑を囲むようにして立っていた。
ティファはその姿を見て、息を呑んだ。
立っていたが、しかし。
眼前で繰り広げられる殺戮にも、絶えず上がる悲鳴にも、派手に飛び散っては顔や体に降りかかる鮮血にも、何の反応も示さず。ただ無表情で、ただ、そこに、呆然と、立っていた。
異様。
その光景は、異様としかいえなかった。
正面からモンスターが猛然と突っ込んで来た。さらに後ろからも、食いちぎられた人の足をくわえて引きずりながら、もう一匹。
(………!!)
ティファはそこで一瞬棒立ちになったが、すぐに正面から来る敵に向かって走り出した。モンスターは獲物が自分から飛び込んでくると見るや、醜悪な口を大きく開き、中に溜まっていた血と唾液をまき散らしながら跳躍した。
だが。
次の瞬間、ティファは獣よりも高く跳び、すれ違いざまに、モンスターの眼球を踏み潰した。
反動でさらに高く舞い上がったティファは、下から聞こえる悲痛な吠え声を無視し、再び記念碑の子供たちへと目をやる。
その中に、見覚えのある子供が、いた。
着地する。血糊で足が滑った。後ろから人の足をくわえたモンスターが追ってくるのを認めると同時に、脚を突き出してかがんだまま一回転する。
足を払われた獣は、走ってきた勢いのまま、顔面から地面に激突した。
頭を潰されてのたうちまわるそのモンスターを飛び越えてしゃにむに走り、やっと記念碑の前までたどり着いたティファの目の前にいたのは―――
「デンゼル!」
息を切らしながらデンゼルに走りより、その両肩をつかむ。デンゼルはうつむいたまま、やはり何の反応も示さない。
「…デンゼル?………デンゼル!」
もう一度呼びかけてみても応じない。体を揺さぶると、そのはずみでやっと顔を上げた。
デンゼルの死んだ瞳に、ティファの憔悴しきった表情が映った。