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エッジの住民は、住みたくてこの土地に住んでいるのではない。
当然だ。何が嬉しくてかの大惨事で崩壊し、瓦礫の山でしかないミッドガルの傍で暮らすというのか。
2年前のあの日、彼らは全てを失った。
蓄えてきた財産も。住み慣れた家も。親しかった友人も。何もかも。
更に生き延びたものの、彼らはミッドガルから離れることはできなかった。
ミッドガルとともに、それまで世界を支えていた神羅カンパニーも事実上崩壊し、空前の規模の難民と化した彼らを受け入れられる所など、どこにもなかったからだ。
忌まわしい過去を思い出させる廃墟に縋って生き続けること以外、彼らに与えられた道はなかったのだ。
別な新天地を探すこともできず、かといって廃墟となったミッドガルを建て直すほどの力もなく。
ミッドガルに寄り添うようにして新たな都市を築くという、なんとも中途半端な格好で、復興都市エッジは誕生したのだ。
そして2年がたち、街がそれなりの規模になり、重労働で日銭を稼ぐ生活にもやっと慣れたところへ、この追い討ち。
これはもう、悲惨の一言に尽きる。
「そろそろさ、本当のコト言って楽になろうよ」
ある建設中のビルの最上階で、カダージュは朗々と言った。
完成にはまだ程遠く、しかし既に地上13階まで建設されたそのビルからは、復興都市エッジのどんよりした町並みが一望できる。
もちろん、広場の惨劇もだ。
「ウソなんだろ?あの記念碑だかなんだかに隠してあるって」
続けて、傍らのルーファウスを見る。
ルーファウスはカダージュと目をあわさず、繰り広げられる虐殺を無表情に眺めていた。
言うまでもなく、記念碑にジェノバが隠されているというのは、真っ赤な嘘だ。
夜遅くにカダージュ達がヒーリンに現れたとき、ルーファウスはその場凌ぎの嘘をついたが、今度ばかりは逃げることはできなかった。
カダージュ達はほとんど拉致する格好でルーファウスをエッジに連れてくると、
彼の目の前で見せしめに記念碑を破壊し、次いで市民を虐殺しだしたのだ。
そして広場に現れた狼型のモンスターは今も増え続け、一部はすでに広場の外へと流れ出ている。街全体に被害が広がるのも時間の問題だ。
カダージュは今、復興都市エッジの全市民を人質に取っているのだった。