変わる世界 交錯する言葉6

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「グゥゥーー」 刀は大臣の腹部へと勢い良く刺さる。 「え……?」 突如の奇行とも取れる王の行動を見て、王妃は少し震えた声を出す。しかし、その声は次第に別の事への 怯えへと変化する。 「どういう事?」 「やはりな」 二人の視線に注がれた大臣は呻きをあげ崩れ落ち動かなくなった。それは普通であった。しかし、大臣の体 からは血の一滴すら上げていない。 「人ではないの……?」 その疑問に答えたかのように大臣であったものが、再び動き出した。瞬時に王妃の元に飛び上かかろうとする。 「危ない!」 王は咄嗟に王妃を庇うように大臣から変貌した魔物に立ちはだかる。瞬き一つの時間で腰の忍刀をもう一つ 取り出す。忍者は他国の騎士達と違い、一太刀と盾を用いて戦うのでない。常に小振りの忍刀を二つ携帯 して、それで戦うのだ。これは二刀流と呼ばれ、忍術や投擲と同じく、忍者という戦士の独自の戦闘スタイル の一つである。 「がっ……」 先手を取られた。王の腕に魔物の攻撃が入る。幸いにも利き腕――最も二刀流の使い手である忍者は両利きという事 になっているのだが――今刀を持っている方に傷を負わなかったのは不幸中の幸いだ。 「出てこい!」 何とか魔物を退けた王は、未だ見ぬ訪問者へと罵声を浴びせた。そう……何者かが、大臣であった魔物の他に 誰かいる。王はそう結論づけたのだ。 「ヒャヒャヒャーーーー」 重苦しい場には不釣り合いな陽気な声と、軽やかな拍手と共に先程、大臣が入室した扉が開く。 「素晴らしいっ! よくぞ分かりましたなぁ……さすがは一国の主じゃわぁ!」 朗らかと言った様子で表れたのは一人の老人であった。
「グゥゥーー」 刀は大臣の腹部へと勢い良く刺さる。 「え……?」 突如の奇行とも取れる王の行動を見て、王妃は少し震えた声を出す。しかし、その声は次第に別の事への 怯えへと変化する。 「どういう事?」 「やはりな」 二人の視線に注がれた大臣は呻きをあげ崩れ落ち動かなくなった。それは普通であった。しかし、大臣の体 からは血の一滴すら上げていない。 「人ではないの……?」 その疑問に答えたかのように大臣であったものが、再び動き出した。瞬時に王妃の元に飛び上かかろうとする。 「危ない!」 王は咄嗟に王妃を庇うように大臣から変貌した魔物に立ちはだかる。瞬き一つの時間で腰の忍刀をもう一つ 取り出す。忍者は他国の騎士達と違い、一太刀と盾を用いて戦うのでない。常に小振りの忍刀を二つ携帯 して、それで戦うのだ。これは二刀流と呼ばれ、忍術や投擲と同じく、忍者という戦士の独自の戦闘スタイル の一つである。 「がっ……」 先手を取られた。王の腕に魔物の攻撃が入る。幸いにも利き腕――最も二刀流の使い手である忍者は両利きという事 になっているのだが――今刀を持っている方に傷を負わなかったのは不幸中の幸いだ。 「出てこい!」 何とか魔物を退けた王は、未だ見ぬ訪問者へと罵声を浴びせた。そう……何者かが、大臣であった魔物の他に 誰かいる。王はそう結論づけたのだ。 「ヒャヒャヒャーーーー」 重苦しい場には不釣り合いな陽気な声と、軽やかな拍手と共に先程、大臣が入室した扉が開く。 「素晴らしいっ! よくぞ分かりましたなぁ……さすがは一国の主じゃわぁ!」 朗らかと言った様子で表れたのは一人の老人であった。

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