変わる世界 交錯する言葉9

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「ぐっ」 「どうした!」 そんな中、突如王妃がその場に倒れ込んだ。 「……おいっ」 慌てて駆け寄ると、王妃は呻きを上げつつ嘔吐している。無理も無いだろう。国の統一後もしばらく続いた 内乱などを初め、男であり、武人たる自分は幾多もの戦場へと赴いた。当然ながら、命の奪い合いと消える さまにも必然的に遭遇しているし、今日、目前で起こった事の様な光景にも何度か直面してきた。 だが、そんな経験など微塵にも存在しない彼女にはこの状況はもはや耐えられないのであろう。 「駄目ですよぉ~言っときますが降参だなんて甘い考えはナシですよ。勿論、彼女だけ助けろとかいうよう な展開も許しません。わしが望むのは最低最悪のオチなんじゃ――」 「それくらいにしておけ」 一人暴走するルゲイエをとめたその声は扉の向こう――部下達の抵抗の跡から聞こえてきた。 「ああ……これは、ルビカンテ様」 ルビカンテ。そう呼ばれた者が足音と近づけると共に姿を王室へと表す。 「ここの総合指揮は私のものだ。勝手な行動をしてもらっては困る」 ルゲイエが配慮深く話すその者は真紅のマントを身に纏っていた。一見すれば、旅団風貌のただの人間に見えた が、王にはその者が人外なる者である事はすぐに分かった。 あのルゲイエと言う者に対しては、平常ではないものの、人としての雰囲気はやはり感じられた。 だがこのルビカンテからはそのようなものは全く感じられない。その上、魔物としてみても、その者には 一般的な野生モンスター等とは比べものにならぬものがあり、唯ならぬ気配を感じさせた。 「貴殿かこの国の主か……ルゲイエが失礼な事をした。非礼を詫びよう。 我が方もこの様な一方的な戦を好んでいる者ばかりでは決してないという事をわかって頂きたい……」 その人外なる者――ルビカンテが軽く会釈を交える。 「だが、私も人に仕える身。命令を遂行するのは当然の義務。なので一騎打ちを申し込みたい」

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