三節 光を求めて1

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「ほらほら、セシル早く!」 「ま、まってくれよリディア……」 「まてないー、遅いよっ!」  エメラルドグリーンの美しい髪をたなびかせながら、無邪気に駆け回るリディアが先を急かす。 その爛漫な姿はまるで、砂上に輝くオアシスの妖精のようであったが、後ろに控えている暗黒騎士は、 それはみじめな有り様だった。自慢の鎧は吹き付ける砂によってその鮮やかな漆黒を汚され、全身を包む その黒色がたっぷりと日光を吸収して、中の男ーーセシルは蒸し風呂のような責め苦を味わっていた。 おまけに、彼の背中には巨大な買い物袋が累々と積み上げられていた。 「セシルが言い出したんだからねー」 「わかってるよ……でも、ちょっと休ませて」 耐えきれなくなったセシルはドカドカと荷物を下ろすと、日陰に腰を下ろした。 暑いのには変わりないが、日なたとは偉い違いである。全く、信じられない暑さだ。 兜を外し大きく息をつくと、リディアも横にチョコンと座り、汗をふいてくれた。

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