四節 Eternal Melody21

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突然の異音を最後に、ダークエルフを縛り付ける竪琴の音が止まった。 「クリスタルを!」 仲間の指示が飛び、セシルは台座へと走った。クリスタルに手を触れると同時に、巨大な丸太のような何かが、彼を弾き飛ばす。 壁際まで吹き飛ばされたセシルが、まず目にしたのは、巨大な蛇だった。 「ヨクモ……ヨクモ、ヨクモ!」 いや、竜か。 部屋を一周するほどの巨大な体と、不釣合いな短い手足。それらを覆う鋼色の鱗。 濁った両目に殺意をたぎらせ、魚類を思わせる口から吐き出される声は、紛れもなくあのダークエルフのもの。 新たな名を与えるなら、ダークドラゴンとでもするか。 「モハヤヨウシャハシナイ!  オマエタチ、コロス!」 長い尾がうねり、鋭く尖った鰭の先を刃のように閃かせて、ダークドラゴンはセシルへと踊りかかった。 「下がれ!」 「ええい、当たる相手が違うだろうが!」 すかさずヤンが割って入り、テラが詠唱を始める。 間一髪で取り戻したクリスタルを抱え、セシルは敵との距離をとった。これを奪い返されてはお終いだ。 「おうい、どうした!  何があったんじゃ!?」 沈黙を続けるヒソヒ草へとシドが問いかける。返答はなく、聞こえてきたのは、何かをひっくり返すような物音。 何かあったのは間違いない。戦いの最中、ギルバートの身をそれ以上気遣う余裕はなかった。 クリスタルをシドに託し、セシルは弓に矢をつがえる。 「せいっ!」 「スロウ!」 鞭のようにしなる竜の髭をモンク僧の爪が切り裂き、賢者の魔法が敵の動きを鈍らせる。 彼らの助けもあり、セシルの放った矢は見事に暗色の鱗を射抜いた。 傷ついたダークドラゴンは、大きく口を開ける。矢傷の近くにもう一撃を加えたヤンが、牙から身を守るために距離をとった。 しかしそれは敵の思う壺だった。一箇所に集まったセシルたちに向けて、ドラゴンの口から黒色のガスが吐き出される。 広がった闇色の雲は瞬時にセシルたちを包み込み、手足が腐り落ちていくような、言いようのない疲労で戦士たちを蝕んだ。

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