三節 山間22

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「さて……まだこんなものではないぞ」 そう言ってスカルミリョーネが指を鳴らす。途端、音を待ってましたといわんばかりに岩陰からさらに数人のアンデットが現れる。 「パロムを襲ったのはそいつらか!」 視点の定まらぬ虚空の目をみやりセシルは確信めいた様子で呟く。 「ふふ……察しがいい」 「でも……何故?」 道中、セシル達は何度もこの山の霊気に取り憑かれたアンデット達と戦ってきた。 そのモノ達の動作はいずれも緩慢で特に苦戦する事もなかったのだ。 しかし、先程パロムを襲ったアンデットの動きは目を疑うかのような速さであった。 「教えてやろうか。このアンデット達は私が直接指示を出している。本能だけで行動する 唯のアンデット達と一緒にすると痛い目をみるぞ」 セシルの疑問を感じ取ったのかスカルミリョーネは説明する。そして一息ついて、最後にこう付け加える。 「さて、暗黒騎士よ……その剣では私のアンデット達は倒せないよ。どうするかな?」 「!」 今まで心の何処かに置き去りにしていたものを暴かれた気分になった。 セシルは鞘に納められ、静かに佇む相棒を見やった。 巨鳥をも一太刀で息の根を止めてしまうデスブリンガーだが、やはり暗黒剣である。 生なきものたちには全くと言っていいほど効果がない。 「ふふ……どうするかな……」 ローブの奥、誰も伺い知る事のできない口が密かに緩んだ。

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