三節 山間24

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 その沈黙と同時に、周囲のアンデッドたちの動きまで止まってしまった。いや、正確には 止まっているわけではない。彼らは立ち尽くしたまま、まるで痙攣でもするかのように、 カタカタと身体を震わせていた。それも皆が皆、振り子のように同じ波長で揺れていた。  その中心に、分厚いローブに包まれて、身じろぎすらしない影がいた。 「!!!」  セシルたちは目を疑った。  いきなりスカルミリョーネが大きく身を逸らしたと思った途端、その小さな身体がメキメキと 異形に膨れ上がり、ローブの下で暴れだしたのだ。やがて彼の身体の隆起は地面にも伝わりだす。 固い岩盤の地が波のようにうねり、その流れがローブの内側に流れ込んで、スカルミリョーネは ますます膨れ上がってゆく。勢いは増しこそすれ、いっこうに衰える様子を見せない。  アンデッドたちは、今や恐怖にのたうち回るがごとく強烈に震えていた。スカルミリョーネは まだ大きくなる。ついにセシルの身の丈の二、三倍ほどにまで膨れ上がったとき、アンデッドの 一匹が弾け飛んだ。  パチパチ、と枯れた葉を擦り合わせるような音で彼らはふっと我に返った。  いつのまにかスカリミリョーネが拍手を贈っていたのだ。やはり小柄な姿で。  周囲のアンデッドは、気味の悪いうなり声をあげて、フラフラと立っていた。その数はさっき までと変わらない。首を切られた一匹が、なんとかまた身体にくっつけようと悪戦苦闘していた。 「素晴らしい」  敬服と嘲りを均等に含むような、そろぞらしい声。  拍手をやめると、スカルミリョーネはまたあの笑みを始めた。 「流石はゴルベーザ様のお目に止まった男、なかなか楽しませてくれる。  だが……、その時間稼ぎがどこまで続くものかな…………クカカカ」

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