三節 山間26

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「じゃあ、いくわよ?」 「おう。まかせとけ」 どんっと胸を叩き高らかに宣言する。その態度はついさっきまで怪我を負っていた人間には思えない。 (二人とも何をするつもりなんだ?) この兄弟の事だ。なにやら尋常でない事を企んでるかのようであるが…… 「何処を見ておる!」 だが、考える間もなく背後からアンデット達が襲いかかってきた。 慌てて振り返り、攻撃を受け止める。 「テラ! ちょっといいか?」 セシルは傍らで魔法を撃ち込み続けるテラを見やる。 「何じゃ! こんな時に?」 追いつめられたせいかその声は少しばかり怒りがちであった。 この状況に少なくとも危機感を抱いているのであろう。 「パロムとポロムに何か策が有るようなんだ」 「何じゃと! 本当か?」 「うん。だから、僕たちに時間を稼いで欲しいらしいんだ」 「よしっ! そう言うことなら任せておけ」 途端、元気を取り戻したかのように声を張り上げ、今まで 以上に激しく魔法を連打する。 「ちょっと、テラ。これは――」 だが、セシルの問いも爆音とテラの叫びに空しくかき消される。 「はははは。撃って撃って撃ちまくるぞ。どうじぁああーーーー」 「…………」 その威勢よさにセシルは見つめることしかできなかった。

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