三節 山間38

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「何とか……退けられた」 しばらくの間、下を見ていたポロムが息も絶え絶えと言った感じで声を絞り出す。 「ああ……」 同じく息を切らした様子のセシルが同意を返す。 「そういえば体がさっきよりもだいぶ軽くなったきがするぜ」 今更だと言った感じでパロムが体を動かしながら言う。 確かに先程まで体を支配していた不自由さは殆ど消え失せていた。 それでもこの山の空気は厳しいことこの上ないのだが。 「このガスの効果が薄れて来ておるのだろう。しばらくすればもう何とも感じなくなるはずじゃ」 「そうか。なら安心だ」 テラの説明を背に受けつつ、セシルは目前に見える建物に目を向けた。 それは遠くで見たときよりもさらに美しく輝いている。 「これが試練を受ける場所か……」 自分に課せられた試練。その終着点となる場所。 「でもこの入り口開くのか?」 見る限り建物の扉は堅く閉ざされていた。 強硬な鉄の扉はどんなに力を加えても開きそうにはない。 「ここまで来て、扉が開かないのかよ」 項垂れるパロムの傍らセシルが扉に手をかけようとした時―― 「息子よ……」

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