三節 山間43

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だが、墜落する意識化の中で自分に話しかける声がまた一つ。 それも先程までの声ではない。何処か曇りのある声だ。 「どうだ。やはりお前にはできなかったんだ……」 「誰だ……?」 しどろもどろな口調でセシルは訪ねる。 「暗黒騎士……つまりはお前自身と言うことさ……」 つまり先程まで自分が相まみえていたものか。でも、何故すぐに止めを刺さない…… 自分はこの試練に敗れ去った。つまりはもう用済みなはず。 「お前にはほとほと呆れたからさ。セシル=ハーヴィ」 見透かした様にその暗黒騎士は言う。 「正しき心を得るだの何だのと行っておきながらこの体たらく。所詮はお前もその程度の覚悟しかなかった のだな。その癖、中途半端に国家などに背いて……こんな事ならカインの様に自分に素直になった方が幾分か ましだったのかもな」 暗黒騎士の嘲弄に近い言葉に反論する言葉を今のセシルは持ち合わせていなかった。 「もういいよ……さっさと殺せよ。それが君の成すことなんだろ……」 そうさ……もうどうだっていい。暗黒騎士の指摘は全く持って正論だ。 所詮一人ではバロン等の強大な勢力に立ち向かう事などできやしない。 それに幼少から暗黒の道を歩んできた自分にとってはパラディン等一生届くことのない高みの存在。 このようなザマだ……今更、ミシディアに戻っても皆自分を蔑むだろう。ジェシーも長老にも申し訳が立たない。 そして仲間達にもなんて言えばいいのだ…… もういい……自分の様な中途半端な人間は排除されるべきなのだろう。 だんだんと喋るのも辛くなってきた、いっそ目を閉じて、意識を闇深くに沈めよう。すぐに楽になれるだろう……

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